がんのこと、もっと良く知ろう⑰「ステージ4と言われたら」

がんのこと、もっと良く知ろう⑰「ステージ4と言われたら」

こんにちは。いい病院ネットです。

早期がんは、無症状のことが多く、検診などで偶然見つかることが多いといわれています。逆に言えば、症状が気になるようになり、自分で病院を受診してがんと診断された場合には、がんの広がりを示すステージが進んでいる場合もあります。

ですが、がん治療は進歩しており、以前はステージ4であれば「治療法はないですね」と言われたがん腫であっても、新たな治療法が開発されているものもあります。今回は、ステージ4と言われた時の心構えについてご説明します。

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「ステージ4と言われたら」

■病状をきちんと把握しましょう

がん治療の進歩は年単位で変化しています。そのため、がんに関わっている医療者であっても、臨床試験や新しい治療などに対して詳しいとは言えない場合もあります。

そのため、ステージ4と説明された時には

・原発はどの部位であるか
・転移巣はどこで、どの程度広がっているのか
・一般的に行われる治療は何か
・その病院でできる治療は何か

についてきちんとメモを取りつつ、医師から病状説明用紙を頂けないか伝えてください。告知の衝撃で気持ちが落ちてしまったときには、家族や信頼できる友人などと同席をして、病状とこれからについて、医師の話を聞いて頂きたいと思います。

5年、10年以上前に、がんで家族や友人を亡くした記憶がある方は、「ステージ4」という言葉をきくだけで、「もうだめだ」とその時の記憶と今とを重ねてしまうことがあります。私も何度か経験しましたが、「どうせ治療しても苦しませるだけなら」と、治療を受けることを最初から拒否してしまう方がいます。それだけ、その方にとって大切な家族をがんで亡くした過去はつらい経験だったのですが、今はステージ4でも完治に近い状態に治療効果が得られるがんもあるため、まずは「客観的に」病状を把握することが大切です。

■正しい情報を集めましょう

今はネットで色々な情報を得ることができます。ですが、誰もが情報をアップできる弊害も多くでています。例えば、同じ病気で悩む患者さんのブログを見ることは、治療を決める際には、あくまでも「個人の体験」でしかないため、参考程度にとどめるようにしてください。

また、「がんが治る」「治療しないで治った」という言葉ばかりを追うことも、お勧めできない情報の集め方です。「どんなことがあっても治療しない」と決意している方であれば、民間療法や代替療法だけを選択することもありなのかも知れません。

ですが、病状への不安や、提示された治療が怖くて「がんが治る」「治療しないで治った」という文字を探しているのであれば、治療ができるタイミングを逃してしまうこともありますので、まずは一般的に行われている治療の情報から集め、わからないことをがん情報支援センターや、主治医に説明してもらいましょう。

■セカンドオピニオンを受ける

ステージ4の治療に関しては、主治医の考え方が反映されやすい面があります。抗がん剤などについても、新しい治療を積極的に取り入れる医師と、自分が経験したことのある治療を優先しがちな医師もいます。それは、医師も完全に治ることが難しいステージ4の患者さんを前にした時に、どうしたら患者さんにとってQOLを維持しながら治療を続けていけるか迷いがある場合や、その病院としてのがん治療体制に限界がある場合もあります。

そのため、ご本人やご家族が調べた治療と、提示された治療に違和感を持たれた時には、遠慮なくセカンドオピニオンを受けることをお勧めします。

ステージ4は、他の臓器に転移がある状態です。そのため、原発巣の主治医だけで対処できない場合もあります。原発巣を手術で切除するだけで済む場合であれば、多くのがん治療を行っている病院では、“がんを切除する”ことに関しては、それほど大差はありません。ですが、ステージ4の場合には、自分や家族が後悔しない治療を選択したいと望むときは、セカンドオピニオンを1か所は受けて欲しいと思います。

そのうえで、自分たちが納得できる治療を行ってくれる医療機関を選択することが良いと思います。

■治療と同時に、これからのことを話し合う

初発のステージ4の前立腺がんや乳がんの患者さんの場合では、ホルモン療法に反応し、がんの縮小と自覚症状が改善し、生活の質が上がることも多くあります。大腸がんでも肝転移のみの場合には、集学的治療で完治に近い状態を得られた方や、分子標的薬でがんをコントロールしている腎がんなどの患者さんもおられます。

同時に、ステージ4は、病状のコントロールが難しい患者さんもまた、多くおられるステージでもあります。

そのため、ステージ4と言われ、臨床試験を含めて積極的に治療を受ける選択をしたとしても、これからの過ごし方についてはしっかりと考え、家族や大切な人と一緒に話し合うことが大切です。

例えば
・どの治療まで受けたいと希望するのか(民間療法、先進医療、臨床試験など)
・どの病院で治療を受け続けたいと希望するのか
・症状がつらくなった時、その後をどう過ごしたいのか
・仕事や家庭などの役割をどうするのか
・最期を過ごすとしたら、どこで過ごしたいのか

など、本人とご家族が、共通認識して欲しいと思います。それは、自分の人生をしっかりと生きることでもあり、家族が将来の代理意思決定となるときに、「こんな話をした」記憶が支えになるからです。

将来を話し合うことは、諦めではなく、未来を自分らしく生きるためです。ステージ4と言われたからこそ、しっかりと向き合って話してほしいと思います。

まとめ

ステージ4と言われても、今は治療法が増えています。まずは、病状と治療法について正しい認識と知識を持つことが大切です。ネットでも情報は得られますが、言葉の意味が分かりにくいときは、がん相談支援センターや、がん看護相談などをご利用ください。

気持ちが落ち込むときは、緩和ケアや心の専門家を受診して、心を癒してから治療を選択してほしいと思います。進行がんであるステージ4だからこそ、家族や友人そして医療者とつながって、自分の人生をじっくりと考えてください。

ライター:村松真実(がん看護専門看護師)

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