もっと知って欲しい!乳がんのこと①

もっと知って欲しい!乳がんのこと①

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『乳がんって何?』

乳がんと生きるタレントの方のブログ。皆さんの気になって目を通しているのではないでしょうか。実は、私もその一人です。自分の家族ではないのに、その方のブログを見て考えさせられたり、一緒に喜んだりしています。

今や、日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんでなくなる時代です。とはいえ、がんで亡くなる方が多くなるのは、男女ともに60歳以降で年齢が高くなる程高くなり、男女差は男性の方が圧倒的に多いのです。ですが、がんに罹患する方では、30歳から40歳代では女性のほうが多く、60歳以降で男性が女性を追い抜く形となります。

この、女性の30歳代から40歳代のがん罹患率を引きあげている主ながん腫が「乳がん」です。この世代は、結婚・出産・育児・介護と、自分のことよりも家族のために時間を費やしがちな年代です。

だからこそ、乳がんのこと、自分のこととして考えてみませんか?

■乳がん患者さんは増加しています

日本人女性の乳がんの罹患率と死亡率は、年々増加傾向と言われています。
乳がんは、女性のがんによる部位別罹患率はダントツ1位を占めます。その割合の多さは、2012年における部位別罹患率第2位の大腸がんが、人口10万にあたり87、4名の方がかかるのに比べて、乳がんは113人の方がかかることになります。1位と2位の差がどれほど大きいかわかりますよね。

それほど女性がかかるがんで多い乳がんですが、死亡する人は、乳がんにかかる人の1/3以下といわれています。2014年に乳がんが原因で亡くなった方は、約13,000人で、女性のがんによる部位別死亡順位では、第5位になります。

とはいえ、乳がんでなくなる女性が多いのは事実。できるだけ早期がんのうちに発見し、できるだけ体の負担が少ないうちに治療したいものですよね。

参考URL
http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/site.html

■乳がんが増加した理由は何?

なぜ、急送に乳がんが増加したのでしょうか。その一つの理由として、

〇初潮年齢が低くなった
〇妊娠・出産の回数が減った
〇高齢出産が増えた
〇閉経年齢が高くなった
〇肥満
〇喫煙者の増加
〇アルコール
〇糖尿病

などがあります。

乳がんはホルモン依存性腫瘍の一つともいわれ、女性ホルモンの中のエストロゲンの影響が高いといわれています。エストロゲンは月経期間が長いほど、体内に分泌される量が増えるため、初潮になる年齢が低いほど、閉経が来る年齢が高いほど、妊娠していない期間が長いほど、エストロゲンが多く分泌され、乳がんのリスクが高まることになるのです。

また、ストレスや夜勤勤務が多い職種の人は、乳がんリスクが高まるともいわれています。女性の10代から50代までは、月経を中心としてホルモンバランスが崩れやすい時期。様々な要因が重なりあい、乳がんを発症させるリスクを高めてしまうのですね。

閉経後の乳がんに関しては、肥満が乳がんリスクを高めるといわれています。これは、体に余分についた脂肪組織によってエストロゲンが作られることが原因しているようです。和食から、高脂質が多い欧米の食事へのシフトが、日本人の女性の乳がんリスクを高めたのではないかともいわれています。

参考URL
http://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/breast.html
http://ganjoho.jp/public/cancer/breast/
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g1/q02/#2-5a

では、次に、乳腺のこと、乳がんのこと、について話を進めていきます。

■乳がんは、主に母乳が通る「乳管」にできるがん
乳腺とは、乳汁を作る「小葉」と、乳汁を乳頭まで運ぶ管の「乳管」から成り立っています。さらに、いくつかの「小葉」は「腺葉」というブドウ房のような単位を作り、この「腺葉」が一つの「乳管」につながることで、乳汁を乳頭に送り出すことができます。

乳がんの多くは、この「乳管」から発症します。乳管から発症するがんであるから、「乳管がん」と呼びます。その他の部位から発症する乳がんとしては、「小葉」から発症する「小葉がん」、乳頭のびらんで見つかることが多い「パジェット病」(稀な乳がんです)などがあります。

さらに、この「乳管がん」「小葉がん」は、病理学的に細かく分類されていきます。特に「非浸潤がん」であるか「浸潤がん」であるかは、その後の治療方針が変わることもあり、乳がんと診断された時に、チェックすべきポイントの一つになります。

■乳管の内側を広がる「非浸潤がん」

ほどんどの乳がんのタイプである「乳管がん」。その乳管の壁から発症したがんが、菅の中を「腺葉」に沿って進むタイプが「非浸潤がん」と呼ばれます。それに対して、乳管の壁から外側に顔を出して広がるタイプを「浸潤がん」と呼びます。

「非浸潤がん」は、がんの広がりを示すステージ(病期)分類では、「ステージ0」に当てはまり、早期がんに分類されます。この段階で発見され、治療した場合には、5年生存率ほぼ100%とも言われています。ですが、「非浸潤がん」のように、乳管の内側にあるしこりは手で触るだけでははっきりとしたしこりを触れにくく、マンモグラフィー検査を行うがん検診などで見つかる場合が多いともいわれています。

逆に、「浸潤がん」は、乳管から飛び出しているため、しこりが手で触れやすいともいわれています。つまり、「乳がんのセルフチェック」が乳がんをできるだけ早く発見する方法の一つになります。

参考URL
http://ganjoho.jp/public/cancer/breast/diagnosis.html
http://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/breast.html
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/nyusen/sick/brest/brest.html

■乳がんはセルフチェックが大切!

非浸潤がんをセルフチェックで見つけることは難しいですが、乳がんにかかった約60%の方がセルフチェックで乳がんを発見しているともいわれています。やはり、定期的にチェックしている場合には、自分の乳房に触った感じの違和感(変化)により早く気が付くのではないかと思います。

セルフチェックをする時期は

〇生理が終わって1週間から10日の間で、乳房の張りがない時期
〇閉経後は、毎月1回程度の間隔で

行うことがおすすめです。

次回は、セルフチェックを行って、異常を見つけた後の流れ~乳がんの診断・治療までについてご説明したいと思います。よろしくお願いします。

ライター:村松まみ(がん看護専門看護師)

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