こんにちは。いい病院ネットです。
「がん」と聞くと、何故が避けたい、身構えてしまいたい方が多いように思います。また「がん」と診断された友人や知人に、どう対応したらいいか判らないと悩む方もまた、多いのではないでしょうか。ですが、今や一生にうちに2人に1人ががんにかかるといわれています。
ネットで調べると、たくさんのがんの情報があふれていますが、その情報を惑わされないために、きちんと知って欲しいがんのコトも、定期的にお伝えしていきます。
がんのこと、もっと良く知ろう①
■がんは特別な病気ではなく、誰でもかかる病気です
細胞はどんどん分裂していくことは、誰もが知っていることでもあります。人も動物も、細胞がどんどん分裂し、同じ構造や機能・性質を持った細胞が引きつがれていきます。
この分裂する行程は、本当に性能のいいコピー機だとも例えられます。何ごともなければ、ただひたすら細胞はコピーされ、同じ機能をもった新しい細胞が作られ、役目を終えた細胞は消えていきます。
けれど、コピーは、使えば使うほど、劣化します。もちろん、体の内部でメンテナンスを行ったり、きれいにコピーされなかった細胞は、早めに寿命を迎え排除されたりしていきます。それでも、チェックの目をすり抜けて、元の細胞に似ていながらどこか異質な細胞が、体内に生き残り、生息を続けます。
このちょっと異質な細胞も、細胞分裂をして増えていきます。そのままも形で増え続ける細胞もありますし、またコピーがうまくいかずに、もっと癖のある細胞に変化することもあります。
このコピーがうまくいかないことを繰り返す中で、がんと呼ばれる性質をもった細胞が誕生し、排除機能を潜り抜け、居場所をみつけて住み着きます。そして、徐々に同じ細胞の仲間を増やし一つの集落を作っていき、検査などで捉えられる大きさになった時に、細胞を調べることができ「がん」と診断されることになります。つまり、動物でも人間でも、細胞分裂をする時に、がんになるリスクがあるということになります。
■検査に引っ掛かるまでに数年から、数十年。けれど、大きくなる加速がつく
基本的に、もとの細胞からがん細胞が生まれ、それが検査に引っ掛かるまでには数年から数十年かかると言われています。もちろん、色々な条件が重なって、もっと早くがん細胞になってしまうこともありますが、普通に暮らす中では、そのような経過をたどります。
しかし、ここで、注意したいのは、検査に引っ掛かる大きさになってからは、体積で細胞が増えて大きくなるということです。検査で見つかる大きさが5㎜程では、何の症状もありません。けれど、細胞が分裂する速度が速い種類のがん細胞であれば、その5㎜の中にある細胞が指数関数的に増えていきます。
「検査で見つかった時は、症状がなかった」から半信半疑に思われるがん細胞ですが、がん検診の狙いは、この「検査に引っ掛かる大きさに育ったがん」や「がんに近い細胞(異型性)のうちに見つけて経過観察をする」ことにあります。症状が出ないうちに、コントロールがしやすいうちに、がんに似た細胞やがんを見つけることにフォーカスを合わせているのです。
■がんは慢性病、けれどコントロールが難しい
がんは慢性の病気になります。感染症や脳出血や心筋梗塞などのように、急激な変化で命に関わるというかというと殆どの場合がそうではありません。
どちらかというと、徐々に細胞が数を増やし変化していくため、最初にいた場所から移動したり、更に細胞の性質を少しずつ変えたりしていくため、コントロールが難しくなります。
もともとが、自分の細胞。その性質があるが故に、治療をすれば、正常細胞まで影響を受けてしまいますし、数が少なくなったり何となく正常細胞とも仲良くやっている時は、周囲に隠れて大人しくしていたりもします。
ですが、免疫力が低下したり、環境が変わったり、ホルモンバランスを崩した時などに、急に活動が盛んになることがあります。
「ずっと落ち着いていたのに」「もう、治ったと思っていたのに……」ということがあるのは、体のバランスが変化したり、がん細胞の性質が変化したりして、今までのコントロール方法では抑えきれなくなってしまったとも考えることができます。
■まずは、焦らず、正確な情報を調べましょう!
「がん」と診断された時や、家族の方が「がん」にかかると、その言葉に焦ってしまって、正確な情報が頭に入らなくなってしまうことがあります。
それは、まだ「がん=死」のイメージが、多くの人に中に刷り込まれているせいだと思います。
私は、看護師として最初に勤務した場所はがん専門病院でした。まだ、その頃はガイドラインなども殆ど見当たらず、そもそも「がんセンター」に家族を入院させたくないという方が多かった時代でした。
その頃から20年以上たち、がん治療は進歩して、多くの方が助かるようになっているのに、いまだにテレビの主人公が亡くなる時は「がん」。抗がん剤の副作用も、痛みなどのコントロールも日清月歩で変化しているのに、いまだに「抗がん剤=吐く」「すごく痛みで苦しむ」という図式ができあがり、なかなか解消されません。
だから、がんと聞くと、テレビからの情報や、昔亡くなったご家族や知人の方の姿を思い出し、「がんは治らない」「がんは痛い」と、それまで自分が見聞きした記憶や情報から判断しようとしてしまうことになってしまうことになります。
「がんを知る」時は、まずは、個人のWEBサイトや、著名であっても一人の専門家が書いた情報から入らないようにしてほしいと思います。
1人が書く情報は、どうしても私見が入りますし、自分の話を聞いてもらいたい気持ちも少なからず反映し、オーバーな表現になることもあります。
そのため、自分の病気をまず知る時は、「がん相談室」や「がん情報支援センター」に行って、パンフレットなどをもらって情報を得るか、「がん情報サービス」や、「静岡がんセンター WEB版がんよろず相談Q&A」「日本対がん協会」などから情報を得て頂きたいと思います。
そして、ある程度、客観的な情報と、自分の状態が判ってきてから、同じ治療を受けた方の情報を調べたり、判らない部分やもっと知りたい事柄を医療者に遠慮なく聞いたりして頂きたいと思います。セカンドオピニオンも、一度は受けることをおススメします。
まとめ
如何でしたが?がんはコントロールが難しい場合もありますが、早く見つけることができれば、根治が望める疾患です。
疾患そのもののことを書くというよりも、気持ちの持ち方、がん治療の流れや副作用、そして症状緩和についてお伝えできればと考えています。
これからも、よろしくお願いします。