在宅医療のこと、もっとよく知ろう!④

在宅医療のこと、もっとよく知ろう!④

こんにちは。いい病院ネットです。

「在宅医療のこと、もっとよく知ろう!」4回目になります。今回は、がん患者さんが受在宅医療を受ける時の心得や準備についてご説明していきます。

■がん患者さんが在宅医療を受ける時の心得は?

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がんと告知され「死を意識した」方や、家族や友人ががんにかかった時、「どうなってしまうのか」と、現状を冷静に把握することが難しいと感じた方も多いのではないかを思います。

がんは慢性病でもあり、長期戦で経過観察を必要とする病気の一つですが、根治した方も沢山います。けれど、テレビドラマや、新聞やテレビで見かける有名人の方の死因が「がん」が多いため、死を意識させる病気になってしまっています

ですが、「がん=治らない」という簡単な図式ではなく、治療法も多岐に渡ります。そのため、在宅理医療に切り替える時には、今の病状と今後の経過を理解しておくことが大切です。

■積極的治療は終了しても、緩和治療を提案されることもあります

手術や抗がん剤などの積極的治療は終了し、在宅医療に切りかえる方もおられると思います。けれど、骨転移の痛みや出血予防の目的で、放射線治療を勧められることがあります。

この場合の治療の目的は、がんそのものを治療するというよりも、生活の質を上げるための治療になります。そのため、放射線治療による副作用はあまりなく、治療期間も短くなります。

“治療はこりごり・・・”と頭から拒否せず、医師の提案を聞いてみて、自分にとって、治療を受けることで生活の質を上げるか、下げるかを冷静な目で判断して欲しいと思います。

■介護保険の申請は済ませつつ、介護保険の認定が下りるかは柔軟に……

多くのがん患者さんは、自分で身の回りのコトができなくなってからの時間が、あまり残されていない場合もあります。芸能人の方のニュースでも、“この前までテレビにでていたのに”と思われたことがあるかと思います。

年齢や、病気の経過、それまでの疾患などにもよりますが、多くの方は、亡くなる数日から1か月位前まで、自分で歩ける方が殆どです。

そのため、残された時間が限られていることを理解し、本人・家族が可能な限り在宅で過ごしたい・過ごさせたいという希望される時は、介護保険は申請しても、その認定が下りるのを待っていると、間に合わないことも起こります。

認知症や脳梗塞、その他の慢性疾患で在宅医療を使う場合と、がんの終末期で在宅医療を使う場合とで、判断が迷うのは介護保険の認定を待つかどうかだと思います。

ケアマネージャーさんによっては、介護保険の認定にこだわる方もおられると思います。けれど、今は電動ベッドもリースで低価格で借りることも可能ですし、終末期で訪問診察・訪問看護を受ける場合には、医療保険の対応になります。

大切なのは、患者さんの状態が、今、どの時期にあるのかということと、在宅で過ごしたい気持ちがどの位強いかということだと思います。準備にこだわることよりも、タイミングを逃さず在宅医療に切り替える潔さが、必要な場合も多いということを心の片隅に刻んでおいて頂ければと思います。

■在宅医療でできること、できないこと

在宅医を見つける時は、がん患者さんを良く見ている先生を紹介してもらうことも、患者さんの苦痛を緩和するためのポイントです。痛み止めの麻薬や、その他の症状を緩和する薬剤の使い方は、ある程度ガイドラインに沿って行われています。けれど、やはり、医師のも専門がありますので、がん情報支援センターなどを利用して、情報を得て欲しいと思います。

また、在宅では痛み止めや点滴、尿の管を交換するなどは、問題なく対応できます。けれど、輸血を対応する在宅クリニックは殆どないこと、腹水や胸水穿刺などは在宅医の裁量にゆだねられることになります。

もし、輸血をしてもらいたい、腹水穿刺などの希望が最初からある場合には、その時だけ病院に通院し、在宅でのケアなどは訪問看護師さんに対応してもらうパターンや、主治医は在宅医として、対応が必要な時に医師を通して連携してもらうと良いかも知れません。

しかし、患者さんの生きる期限が、週単位・日単位となった場合には、輸血や腹水穿刺などが、逆に体に負荷をかけることもあります。けれど、“輸血をすれば良くなる”“腹水を抜けば楽になる”と、それまでの対処法をやってもらいたいと思う患者さん・ご家族の方もおられます。

“今まで大丈夫だった”という気持ちはとても判りますが、同時に“いつかはできなくなる時期が来る”と心に留め置くことも、終末期を迎える時の心構えになります。在宅での看取りは、できるだけ針を刺したり、管を入れたりという、医療処置による苦痛を少なくすることにも意味があります。

在宅で過ごしたいと希望する患者さんは、自分の好きな空間や、家族の声や生活の音を聴くだけで、心が安らぐと言われています。非日常な生活ではあるかと思いますが、その中でも日常は生活があることも、患者さんの安らぎであり、楽しみでもあるようです。

■大切なことは、普段から話し合っておくこと

今は日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなっている時代です。本当は、健康な時から、自分がどのような将来像があるかを、家族の中で話し合っておいて欲しいと思います。

在宅医療を受けることは、患者さんだけではなく、ご家族の生活も変わってしまいます。そのため、今までの家族関係が大きく変化し、水面下にあった問題が表面に浮き上がり、家族のバラバラになることもあります。

普段から、お互いが、どうしたのかを、話し合うことはとても大切なことです。不吉なことと避ける傾向にある方もおられますが、何かの折に少しでもお互いが口に出していただけたらと思います。

まとめ

いかがでしたか?がん患者さんの在宅医療についてのポイントなどを説明してみましたが、参考になりましたでしょうか。次回もまた、宜しくお願い致します。

ライター:村松まみ

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