在宅医療のこと、もっとよく知ろう!⑤

在宅医療のこと、もっとよく知ろう!⑤

こんにちは。いい病院ネットです。

在宅での災害対策

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「在宅医療のこと、もっとよく知ろう!」5回目になります。今回は、在宅医療を受ける時の災害対策の心得についてご説明していきます。

在宅医療を受ける時の災害対策の心得は?

■連絡先をきちんと登録する

在宅医療を受けていると、訪問看護師や訪問医が自宅に来てくれるため安心ですが、大きな災害が起きた時は、必ずしも訪問医や訪問看護ステーションにすぐに連絡が取れるとは限りません。場合によっては自宅から避難を余儀なくされることもあります。

そのため、災害時に持ち出す荷物の中に、訪問診療を受けているクリニック、訪問看護ステーション、ケアマネージャーなど、在宅医療に関係するスタッフの連絡先を保管しておくようにします。可能なら、携帯電話に誰がみてもわかる名前で登録しておくこともおススメします。

また、在宅酸素などをはじめとする医療機器を扱っている業者と連絡先、使用している機器の名前なども携帯などにフォルダーを作って残しておくと説明しやすくなります。

■72時間分のお薬やバッテリーの確保

災害が起きた時、72時間あれば、支援の手が届くと言われています。ということは、逆を言えば、72時間を乗り越える準備をすることが大切だということになります。

例えば、お薬。最低3日分は、非常用袋か必ず持って逃げる袋に携帯しておくことをおススメします。また、日頃からお薬手帳を活用し、現在飲んでいるお薬が判るようにしておきます。

患者さんのお薬手帳を見ていると、きちんとシールは貼っているけれど、実際に服用しているお薬を尋ねると、すぐに探せないということがあります。お薬の処方日数が違う場合や、他の病院から3か月分処方されたなどが重なり、判りにくくなってしまうようです。
そんな時には、現在服用しているお薬(朝・昼・夕)の写真を、携帯などに取り込んでおくと判りやすくなるかも知れません。

今は、ジェネリックが多いため、正式な薬剤名でなければ、欲しいお薬が何かを探すことが難しくなっています。災害時は、自分で自分を守る心づもりも大切です。3日間以上のお薬と、服用いているお薬と量を、救助にきた医療者が一目でわかるように整理しておくように心掛けて下さい。

また、医療機器を在宅で使用している方は、常に予備電源も充電し、いつでも使える様にしておくことも大切です。人工呼吸器・在宅酸素・吸引器・点滴ポンプなどを在宅で使っている方も多いと思います。バッテリーが内蔵されているか、電池で対応できるかどうか、手動で対応できる方法はないかなど、確認しておくようにしてください。

被災する時は、医療者も被災しています。そのため、医療者が大切を立て直すまでの期間は、自分達で対応できるように、日頃から医療者と一緒に練習をしておくことが良いと思います。

吸引器を使用している方は、チューブの先に注射器をつけたり、ペットボトルなどを用いて吸引したりする方法を知っておくと、吸引器が使えなくても安心感が違います。

同時に、72時間を乗り越えるための水分や食事、懐中電灯、笛、簡易トイレなども準備しておくことを忘れずに!

■東日本大震災では、こんなことがありました

東日本大震災では様々な国の通知が出されていました。
○保険証を提示しなくても、衣装期間の受診、訪問診療、訪問看護、介護サービスが利用できる

○処方箋や医師の診察がなく手も、お薬手帳やお薬袋で、薬局は薬剤を渡すことができる

○医療用麻薬や、向精神薬は、医師から事前の了承があれば、薬局から薬剤を受け取ることができる

○医療用ボンベを工業用ボンベとして使用可能にする

○人工呼吸器などを利用する在宅医療者の緊急窓口の設置…などなど、災害現場では不足しては困るものから、次々と対策が打ち出されて行きました。

しかし、通知が出されても、「お薬がなくなったら困る」と医療用麻薬を我慢してしまったり、お薬の名前や服用量が確認できず余分な時間がかかってしまったりしてしまった患者さんも多くいました。

在宅医療を受けている患者さんは、災害弱者です。自分達で逃げることには限界があると思います。人に迷惑をかけたくない、人に自分達の事を知られるのが嫌だと考えてしまいがちですが、災害時は、誰もが助け合って危機を乗り越えることが大切です。

「知らなかった」ことで、周囲の人が救い出せなかったことが、災害が落ち着いた後、地域の人の心の傷になることもあります。自宅で療養していることは、何も人に恥じることでも、遠慮することでもありません。自分が、または家族が、自宅で療養していること、何かあったら助けてもらうかも知れないことを、近所の方に話しておくことも、在宅医療を受ける場合の、災害の備えになります。

まとめ

いかがでしたか?在宅医医療を受けている時の、災害準備についてご説明してきましたが、参考になりましたでしょうか。

私自身は、東日本大震災ではミニコンポが空を飛んだり、計画停電にあったりした程度でしたが、その後、「災害とがん看護」というテーマで看護師向けの研修企画・運営に携わることになり、今回の対策なども、その活動で得た知識を基にしております。

日本は災害の多い国です。自分で自分の身を守る手立てを、講じておくことが必要になります。定期的に、ご家族や地域で働く医療・福祉スタッフと話し合いを持つことも、準備の一つです。一人一人が、災害を意識することが、何よりも大切なことです。

ライター:村松まみ

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