こんにちは。いい病院ネットです。
「在宅医療のこと、もっとよく知ろう!」3回目になります。今回は、在宅医療を受ける時の心得や準備についてご説明していきます。
■在宅医療を受ける時の心得は?
在宅医療を受ける時には、療養する際に介護がどの程度必要なのか、介護力をどうするのかを、在胎医療を導入する前にしっかりと話し合っておくことが大切です。
なかなか、ご本人の病状を正確に理解することは、難しいかも知れませんが、ポイントは「安定した状態で長期的な介護が必要なのか」「終末期で数か月を在宅で介護をするのか」は、しっかりと押さえておいてほしいと思います。
例えば、認知症は進行しているけれど体力はある家族の方を介護する場合には、介護は数年に渡ると同時に、徐々に介護度が重くなっていきます。そのため、介護力がないと、介護する側が疲弊してしまうことになります。
また、がんの末期の方は、病状が悪化しご本人が動けなくなってからは、数日から数週で看取りの時期に移行することも多くあります。この場合には、家の準備や、介護力を話あって躊躇していると、逆に家に帰って家族と過ごせる時間が短くなってしまうことになります。
まずは、医師や看護師、相談員に、病状とその後の経過をしっかりと確認することが大切です。その時は、かならずメモをとりながら、判らないことを確認してくださいね。
私が以前に経験した例で、「何もしなければ、あと半年」と言われた奥様が、患者さんの意向に沿い、仕事を辞め、職場の近くで住んでいた子供達も呼び寄せ、旦那さんの介護体制を作った方がおられました。
私がその奥様から相談を受けた理由は、「半年だと聞いたから仕事も辞めて、娘も自宅から通わせたけれど、1年近くになった。娘も不安定になり、生活が立ち行かなくなった」ということからでした。
医師は、病期と、治療を開始する前の状態での予後を伝えていたのです。その「半年」という言葉だけに振り回されてしまい、気落ちした旦那さんのために、妻が中心となって家族全員で、患者さん中心の生活を始めたのでした。
しかし、自分達の生活のすべてを誰か一人の家族のために我慢する生活は、「そうしてあげたい」気持ちと、「そうできない」気持ちに揺れ、罪悪感や怒りの感情を抱くことがあります。
この家族も同様で、患者さんの希望もあり、患者さん中心の生活を1年続けてきましたが、娘さんのコト、生活費のコト、そして「半年の覚悟でいた自分達の気持ち」をどうしていいか判らなくなっていたのです。
この方の場合には、治療は病院に通い、在宅療養を家族が中心で支えていたパターンですが、介護を必要とする方が在宅療養する場合には、同じような問題が起こりがちです。どの程度の介護が患者さんに必要で、どの程度の期間必要なのか、どの程度の介護力が家族にあるのかを、きちんと知って対応することは、とても大切になります。
■支援を受け入れる覚悟を持つ
在宅医療を受け入れる時に、一つのハードルが存在します。それは、自宅に他人を入れるハードルです。
いつも、誰かを家に呼ぶ際に、きちんと準備をしないと気が済まない人や、自分の介護のやり方に固執しがちな方は、どうしても支援を受け入れることに抵抗があります。
また、患者さんの「人に見てもらうのが嫌」という言葉も、ブレーキになるかと思います。
けれど、医療者であっても家族の具合が悪くなるとオタオタするように、自宅で思いもよらぬ事態が起こると、家族は慌ててしまって、救急車を呼んでしまって、更に傷つくこともあります。
在宅医療を導入する時は、できるだけ何らかの支援を受け入れて欲しいと思います。それは、その支援者を通して、情報を得ることにつながるからです。
大きな病院になればなるほど、地域の細かなことは判らないのが実情です。そのために、その地域に強い支援者に患者さんの情報を共有していきます。
ですが、病院から在宅に戻る際に、家族や本人が支援者につなぐことを拒否してしまうと、なかなかその先が続かなくなってしまいます。できれば、「必要ない」と拒否せず、支援の回数は減らしても、地域医療に携わる支援者とのつながりを切らないで欲しいと思います。
■ショートステイを上手に利用
長期に在宅介護を続ける際に、地域医療に関わる支援者と繋がり続けるもう一つの利点は、ショートステイなどの情報を得やすいことです。
介護者自身が病気になることもあります。老老介護や、介護者もがんを抱えている方も多いのも多いものです。
介護を始めた時は「ショートステイなんて、可愛そう」と思いがちですが、やはり介護者・介護力あっての在宅医療・在宅介護なのです。
介護者が体調を崩した、介護者が息抜きをしたいと思った時に、急にショートステイを探すことは難しく、連絡に不備が生じ、対応に不満を抱くことも有ります。
在宅医療・介護を始めたら、ケアマネージャーや訪問看護師、地域の方から、色々な紹鴎を得るようにして欲しいと思います。おススメのショートステイの場所や、介護者が病気になった、不幸があって実家に戻らなければならないなどが起こった時に力になってくれます。
また、定期的にショートステイを使うこともおススメです。自宅で過ごす期間が長ければ長いほど、患者さんは他人の手が入ることを嫌がるようになります。
在宅療法が始まる時に、他の家族や介護を担う方と話し合っておくことで、患者さんも周囲の人も納得してショートステイを利用したり、周りの方も、介護を担ったりする覚悟ができると思います。
患者さんの「家に帰りたい」「家で少したい」気持ちを叶えることと、介護者だけが自分の人生をあきらめることは、別の問題です。賢く支援の輪を広げて、意識的に介護する側も息抜きする時間や場所を確保することも、在宅医療を受ける心得の一つです。
まとめ
いかがでしたか?在宅医療や介護は、頑張りすぎると、介護者の負担が大きくなってしまい、「こんなはずじゃなかった」とか「もっと、早くいってくれていれば」という後悔が生じてしまう場合もあります。
地域のネットワークを上手に使って、上手に息抜きしながら、在宅医療・介護を続けて欲しいと思います。
次の回は、がん患者さん在宅医療について、ご説明したいと思います。宜しくお願いします。