がんのこと、もっと良く知ろう⑤ 「病気を告げられて気持ちが辛い時は」

がんのこと、もっと良く知ろう⑤ 「病気を告げられて気持ちが辛い時は」

こんにちは。いい病院ネットです。

がんであることを告げられた時、受け止められずに気持ちが辛くなることがあります。「がんのこと、もっと良く知ろう」5回目は、病気を告げられた時の心理的サポートについて説明していきます。

「病気を告げられて気持ちが辛い時は」
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■病名を受け止めるまでには誰でも時間が必要です

悪い知らせを医師から聞かされた時、多くの患者さんが「病名以外の説明は頭に入らなかった 」と話しています。患者さんたちは、その時の状況を振り返ると、「頭が真っ白になった」「自分のこととは思えなかった」「仕事や家族のことが頭に浮かび冷静で居られなかった」といった言葉で説明されています。

がんはまだ、「死」を連想させる病気であり、つらい治療のイメージや経済的負担などマイナスイメージが多く、病名を告げられたことを「宣告された」と語る方もおられます。

また、告知を受けた時は、“しっかりしなければ”と医療者の前では冷静な態度を見せても、「どう帰ったか覚えていない」「家について一人になってから涙が止まらなかった」と話される方もおられます。ご自身で自分を支えながら、病名を受け止めようとしていたその姿を思うと、切なくなります。

「悪い知らせ」を告げられた時の一般的な心理的反応として、多くの方は約2種間程度で表面的にはそれまでの日常生活を送れるまでの精神状態に戻るといわれています。もちろん、一人になると涙したり、気持ちが揺れたりすることはあると思いますが、家事や仕事などを普通にこなせるようになります。逆に言えば、「大丈夫。受け止めたから」と話された方でも、2週間程度は心理的に揺れているともいえるのです。

■時間だけでは解決しない時には

悪い知らせを受けた後の、一般的な心理的反応としては、2週間程度で日常生活を普通に過ごせる心理的反応に戻るといわれています。けれど、誰もが時間と共に精神的に安定してくるとは限りません。

受け入れがたい事柄が起こった時に、どう対処していくかは、その方の心理的特性、年齢、経験値、過去の体験などが大きく影響しますし、病気は“個人的な体験”のため、周囲から孤立した気持ちになりやすい傾向になりがちです。

告知を受けた後から、食欲がない、良く眠れない、腰などが痛む、夜中に目が覚めてしまって疲れがとれない、ちょっとしたことでイライラする、何もやる気が起きない、何をやっても楽しくない、景色に色がない気がする……、そんな心身の症状が続く時は、早めにメンタルサポートを受けることをお勧めします。

以前、悪い知らせを受けた後から、ベッドから起き上がることさえできなくなってしまった方がおられました。その頃は、今よりもメンタルケアの必要性が医療者側にも不足しており、対応が遅れてしまったことがあります。

実は、このような反応を示す方は、珍しいことではありません。もともと物事をネガティブに捉える方であれば、病気のマイナス面に目が行き過ぎ、先行きを悲観してしまうこともあります。また、近い身内の方が、がんで亡くなった経験がある場合には、その方と自分を重ねてしまうこともあります。

また、告知を受けた時の、医師や看護師の対応、周囲の反応が、患者さんの辛い気持ちを吐き出す機会を奪ってしまったために、身体化反応として現れることもあります。この場合には、時間の経過だけではなかなか解決せず、心身を十分に休ませ、気持ちを吐き出すことが必要になってきます。

■話を聴いてもらう場所は、必ずあります

告知を受けた後の心の辛さを、自分ひとりで受け止められる人もいます。けれど、“他の人だって頑張っている”“自分だけが辛いわけじゃない”と、必要以上に気持ちを抑え込んでしまったり、“話をしたからって解決しない”と最初からあきらめてしまったりするのは避けて欲しいと思います。

がん治療は、数年に渡る経過観察が必要になる病気です。また、残念ながら再発をする場合や、多重がんを抱えることもあります。そんな時、一人で頑張るには限界を感じてしまうこともあります。

また、「気持ちを話す」ことで、情報が整理される効果もあります。病名を告げられた後、伝えられた情報の多くが、受け止めきれずに零れ落ちていたり、自分の中で再編成する時に正確さにかけていたりすることがあります。そのため、思い込みだけの情報で、気持ちが沈んでいることもあります。

実際に、がん患者さんの多くが、難しい医療用語が理解できないまま、医師に遠慮して気持ちを抑えこみながら治療を受けている方も多いのです。知識のずれや気持ちのすれ違いが大きければ大きいほど、患者さんの心理的負担が大きくなります。

告知を受け、気持ちが落ち込み、気持ちの整理がつかない時は、がん相談支援センターやがん看護外来などを利用して、医師から説明された内容を一緒に整理してみるだけでも気持ちが落ち着きます。

また、患者会に参加する、電話相談を利用する、カウンセリングを受けることも良いと思います。あなたの辛い気持ちや怒り、そして不安を受け止めてくれる場所は必ずあります。主治医に黙っていて欲しいと望めば、メンタルケアの専門家は守秘義務があります。安心して相談してほしいと思います。

まとめ

がんと診断されて、今まで漠然と抱いていた未来の夢や希望が、崩れるような衝撃を受けることがあります。ですが、色々な立場の方と話すことで、気持ちの落ち込みやしんどさ、そして今後ことを色々な角度から考えることができるようになります。

病気のことが頭から離れない、何をやっても楽しめない時や、食欲がない、眠れないなどの心理的身体的変化があった時は、自分だけで辛い気持ちを乗り越えようとせず、気軽に相談できるがん相談支援センターなどをご利用下さい。

ライター:村松まみ(がん看護専門看護師)

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