がんのこと、もっと良く知ろう⑧「病気のことで気持ちが落ち着かない時は」

がんのこと、もっと良く知ろう⑧「病気のことで気持ちが落ち着かない時は」

こんにちは。いい病院ネットです。

がんの疑いがあって検査をして、そしてがんと診断され治療を受ける中で、様々な気持ちの揺れを感じることがあると思います。それは、もちろん患者さん自身もそうですが、患者さんを支えるご家族の方も同じなのではないかと思います。今回は、がん治療をする中で、気持ちが落ち着かない時の対策についてご説明したいと思います。

「病気のことで気持ちが落ち着かない時は」
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■不安になる時は、あえて病気の情報を見ないことも対策の1つ

がん治療を受ける中で、不安になる要素はたくさんあると思います。今は本当に簡単にスマホを検索すると、様々な情報を簡単に得ることができます。ですが、病気のことが不安で気持ちが落ち着かない時は、あえて情報を得ることをしないことも一つの方法です。

人には、問題が生じたときに、様々な方略を使って、困難を乗り越えようとします。その中で、自分で情報を得て解決を図る人や、同じ経験をした人から話を聞いてヒントを得ようとする人もいると思います。

多くの場合は、普段の対処法で気持ちが落ち着いていくと思います。ですが、普段の対処法で不安が解決しない場合には、今までの対処法にこだわってしまうと逆に不安を強めたり、安易な情報に踊らされてしまったりする可能性もあるのです。

治療への不安や、再発の不安、検査結果への不安、症状に対する不安。一つの不安は、不安が不安を呼び、負のスパイラルに陥りやすい傾向になります。そんな時は、あえて自分から「STOP!」をかけて、スマホの画面を見ないことや、同じ病気の方の話を聞かないことをお勧めします。

気になって、見ないではいられない時は、家族や友達、信頼できる相手に気持ちを打ち明けることをお勧めします。形のある相手の声を聴いたり、傍にいてもらうことで、不安という見えないものが遠のいていきます。

■呼吸を整える

気持ちが沈んだり、不安が強い時には、呼吸も普段より浅めで早くなったり、逆に知らずに息を止め大きなため息をつく回数が多くなったりしています。

そんなときは、自分の呼吸に気持ちを集中させることも、不安な気持ちが落ち着いていく対策の一つになります。

人は、一つの事に意識を集中すると、雑念は知らないうちに消えていきます。気持ちが落ち着かないときは、自分の呼吸に集中してみるのもよいと思います。自分が呼吸することに意識を向かわせつつ、「今」に気持ちを集中させていきます。

呼吸が安定することで、心も安定していきます。これも、形のある「呼吸」を意識することで、見えない不安や負の連鎖から抜け出す一つの方法です。

■専門家に話を聞いてもらう

自分の気持ちの持ち方だけでは、気持ちの落ち込みや不安が解消されないときは、専門家の力を借りて、自分の気持ちを整理してほしいと思います。

話すことで、見えない不安の源が見えるようになります。病気になる前までは、普通に社会人として、家庭人として、過ごしていたあなたがいるはずです。不安の種が何かが理解できれば、自分の力で考える強さを取り戻すことができると思います。

病気になってしまった怒りや悲しみ、再発への不安、そしてその先にある死への恐怖などについても、自分の言葉で話すことで、不安や気持ちの落ち込みも軽くなってゆきます。「自分は心の病気じゃない」と思う方もおられますが、がんはまだまだ将来の不安が付きまとう病気の一つです。その病気を何年も背負うことで、心もその重さで疲れることがあるのです。

たくさんの不安や怒りや戸惑いを、を話すことで軽くするだけ。専門家を利用することも、対策の一つになります。

■ご家族の方も同じです

今までの対処法については、ご家族の方にも同じことが言えます。ご家族は、自分たちが気付かなかったから発見が遅れたのではないか、食事が悪かったのではないかと自分達を責める気持ちが強くなりがちです。

そして、治療を乗り越え頑張っている患者さんに、何もしてあげることができないと小道が落ち込んでしまう方もおられます。

がんは、遺伝子が何らかの原因で傷つき、数年から数十年かけてがんになるといわれおり、多くの場合は、はっきりとした原因がわからないままに静かに発病し、検査などで目に見える大きさになって気が付くため、家族だから気が付くというものではありませんし、自分たちを責める必要はないと思います

ご本人の体調が悪くなったときに一番頼る相手は、やはり家族の方です。そのため、ご家族の方のほうが、より不安な気持ちや心の揺れを押し殺してしまい、そのために色々な情報に流されてしまうこともあります。

ご家族の方の不安や気持ちの重さも、取り除くことがとても大切です。家族の病気のことが心配で落ち着かない、不安で気持ちが集中できないときは、あえて家族と離れる時間を持つ、何か集中できることをする、そして信頼できる相手や専門家に話を聞いてもらうことが大切です。

まとめ

がん治療は経過が長く、治療も数年にわたる場合が多くなりました。その数年の間に、治療や副作用の不安、検査結果を待つ不安、症状に対する不安にご本人もご家族も何度も直面することになります。

病気のことで気持ちが落ち着かない時は、あえて情報を自分だけで得ようとせず、見えない不安ではなく「今」に気持ちを切り替えると同時に、不安の種が何であり、どうしたら気持ちが整理できるのかを、誰かに言葉で伝えて欲しいと思います。一人で重い荷物をずっと背負わないことが、気持ちを落ち着かせる大切な対策になります。

ライター:村松まみ(がん看護専門看護師)

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