在宅医療のこと、もっとよく知ろう!①

在宅医療のこと、もっとよく知ろう!①

こんにちは。いい病院ネットです。

よくテレビや新聞、ネットで目にする「在宅医療」。けれど、実際、どんな時に、どんな人が利用するものなのか、よく判らない。

そんな疑問を抱えている方に、在宅医療はそもそも、どんなことをするのか、病院やクリニックとどう違うのか、どんな時に利用できるのかなどを、数回に分けてご説明していきたいと思います。

86087518a6fc20f2e69363c351fff5b2_m

■在宅医療って、そもそも何?

在宅医療とは、病院やクリニックに通うことが体力的に難しい、認知症の症状などが強く通院させることが難しい、終末期を住み慣れた自宅で過ごしたい、そんな状態や希望がある患者さんやご家族が、自宅などで医師の診察を受け、治療や緩和ケアを受けることです。

治療の場が、自宅のため、病院と全く同じ検査や治療を受けることはできませんが、症状が安定していたり、痛みや呼吸苦などの苦痛症状を緩和したりすることで、生活の質が保てる患者さんにとっては、住み慣れた自宅で自由な時間を持てることになります。

■クリニックとどこが違うのですか?

在宅医療を行っているクリニックも沢山あります。動けなくなった時は、訪問診察に切り替える予定で、クリニックに通っている患者さんもおられます。

私の知っている患者Aさんは、在宅クリニックをご紹介した後も、“病院は通うもの”とクリニックに通院し、実際に在宅への訪問診療を受けたのは亡くなる数日間だったという方もおられます。

ただ、クリニックで医療を受ける目的と、在宅で医療を受ける目的は、やはり違います。Aさんの場合も、クリニックに通院はしていましたが、積極的治療ではなく、痛みやだるさなどの症状を取る緩和ケアが中心でした。

Aさんとその家族、そしてクリニックの医師と看護師で、Aさんと話し合いながら、Aさんの生活をより良いものにするために支援していました。最終的に、Aさんは亡くなる数日前に車椅子で家族旅行まで楽しみ、その数日後になくなりました。

それは、クリニックに治療目的―例えば、発熱や腰痛の症状を探るための検査や、原因を治療することとは大きな違いがあります。在宅医療を受ける方は、病名や病状が判っていて、積極的治療が必要な時期でない場合や、積極的治療を望まない方が対象になる医療ともいえます。

■誰でも、在宅医療を受けられますか?

今までかかったことがない場合で、「体調が悪いから見てくれ」と言われても、医師が在宅に訪問することは殆どありません。また、自力で病院に通える方が、在宅医療を希望しても、希望が叶うわけでもありません。

基本的には、本人や家族から事前に相談を受け、かかりつけだった病院などから診療情報提供書をもらった上で、訪問診察が可能かどうかを判断します。そして、本人・家族と話し合い、訪問診猿の仕組みを理解したうえで、お互いが合意すれば、在宅医療を導入することになります。

在宅医療を専門にする医師は、疾患で断るというよりも、行ったことがない医療処置や、在宅医療を受ける対象ではない状態の場合には、訪問診療をお断りすることもありますが、

・通院する体力がなく、病院に通うことができない
・病状は安定しているが、胃瘻やおしっこの管、酸素療法などの医療処置が必要
・退院はしたが、生活や介護、体調の変化が起こった時にすぐに病院に行けない
・入院ではなく、自宅で療養したい
・がんや高齢者の方で、自宅で苦痛症状や家族ケアなどの緩和ケアを受けたい
・難病や重度障害の方で、自宅で暮らしながら療養したい
・認知症のケアを自宅でしたい

などの、急性期治療が終了し、訪問医を主治医とした上で、自宅で診察や医療処置を受けることを希望した方であれば、在宅医療を受ける対象になります。

■在宅医療は高いのでしょうか?

在宅医療は、医療保険が適応になります。
在宅医療でかかる費用は、①訪問診察を行う医療機関への支払い ②薬局への支払い、③訪問看護ステーションへの支払い ④介護保険の自己負担 が主な支払額になります。

病状や医療処置などによって、訪問回数や様々な加算が付きますが、医療保険が適応になるため、一定額を超えた分は、高額医療制度の対象になります。

診察は安定している患者さんであれば、2週間に1回程度の診察で対応可能ですし、病院に通院する場合、介護タクシー代が不要であったり、病院での待ち時間が無くなったり、通院のための家族の負担がなくなるなどの面からみると、費用対効果としては低額になる場合が多いと思います。

■もう、病院にかかることはできないのでしょうか?

在宅医療になっても、必要に応じて病院にかかることはできます。しかし、その際には、在宅医に相談した上で、病院を受診する事が大切です。

在宅医療を受けている方の主治医は、在宅医になります。在宅医は、現在の処方や患者さんのそれまでの情報をカルテに記載しています。

急な症状の変化で、慌ててしまって病院に救急車で駆け込みたくなる気持ちは判りますが、一言在宅医に相談する方が、医療機関の連携がスムーズにいくことあります。また、急な症状の変化に見えても、在宅医で対応できる症状も多くあります。

在宅医療を選択したら、訪問してくれる医師を、ホームドクターと信頼し、その医師を通して、病院にかかるかどうかを話し合いましょう。

まとめ

「在宅医療のこと、もっとよく知ろう①」は、いかがでしたでしょうか。今回は、本当に入門編になります。在宅医療は、医師一人では成り立たない医療ですし、在宅医療を受けるにあたって、患者さんやご家族の方が準備しておくべきこともあります。今後は、それらについても、ご説明していきます!

ライター:村松まみ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>