在宅医療のこと、もっとよく知ろう!⑦

在宅医療のこと、もっとよく知ろう!⑦

こんにちは。いい病院ネットです。

「在宅医療のこと、もっとよく知ろう!」7回目になります。大きな病院に通うことが体力的にしんどいと思いながらも、病院の主治医の気分を害してしまうのではないかと心配な方は多いと思います。今回は、病院にかかりながらかかりつけ医や在宅医を持つことの意味についてご説明します。

病院医とかかりつけ医、どう付き合えば良いの?

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■病院の役割を知っておくことは大事なこと

大学病院などの大病院や専門病院や中核病院に、患者さんが集中しないように、医療の分化が進んでいます。そのため、ある病気の治療や検査は大学病院で行ったとしても、他の病気に関しては近くのかかりつけの病院を利用したり、治療を行う病院が遠い場合には、近所にかかりつけ医を持ったりすることが大切になります。

そのため、数年前に一度かかった大病院は、履歴はありますが、かかりつけにはなりません。また、患者さんが一度に複数科の診察を受けたいと希望したとしても、安定した病状で専門的な検査などが必要ではない病気であれば大病院での診察を継続することは難しくなります。

それは、大きな病院には大きな病院に課せられた役割があるからです。例えば、3次救急指定病院では、軽い患者さんを多く抱えてしまうと、その病院でしか救えない患者さんを受けることができなくなってしまいます。

また、災害指定を受けた病院では、大きな災害が起きた時には、一般外来を中止して、災害で受けた被害を受けた患者さんを優先的に診なければなりません。人的にも物的にも資源は有限なため、大きな災害が起きた時は、一般外来は中止せざるを得なくなります。

ということは、大病院や専門病院だけを通うことは、結構なリスクがあるということになります。そのため、風邪や安定した慢性疾患、定期検診などは、家から通いやすいかかりつけの病院を1つ持っておくことが大切なのです。

■必ずしも、治る病気ばかりではありません

残念なことに、今の医療では完全に治せない病気が数多くあります。けれど、病状が急激に変化する時期の治療は、かなり進歩してきました。

そのため、ある程度病状が安定してきたら、外来通院となりますが、この通院期間が数年から数十年に渡る病気も多くあります。そんな時、命を救ってくれた恩義や安心感から、急性期病院に通い続けたいと思われると思いますが、今はなかなか難しくなっているのが現状です。

それは、慢性疾患が多くなったこと、病気を抱えて生きる方が増えたことが背景にあります。医師も心の中では、一度自分が診た患者さんは継続して診たいと思っています。けれど、それは時間に限りがあるように、診察できる人数に限りがあります。また、大きな病院には、他院から紹介される初診患者を受け入れる役割も担っています。

患者さんは、病気を完全に治してほしい、最後まで面倒を見て欲しいと思って当然ですよね。ですが、その気持ちが強ければ強いほど、逆に、病状が安定してきた時や、積極的治療が必要ない状態となった時に、主治医から他の病院を提示されて、見捨てられた感を強く持ってしまうことになります。

そうならないための手立てとして、必ずしも病気は治るとは限らないこと、一生付き合っていく病気の場合には、自分の体の事を判ってくれる医師を、もう一つ持っておくことが大切なのです。それが、かかりつけ医であり、在宅医になります。

■病院の医師と、かかりつけ医、両方かかることもOK!

かかりつけ医となる街のクリニックや在宅医は、大きな病院と同じような急性期医療を行うには限界があります。けれど、病状が安定しつつも内服治療が必要な場合や、積極治療を受ける体力がなくなってきた時には、あなたやご家族の生活に合わせて対応しやすい面があります。

かかりつけ医や在宅医も、自分達ができる医療や処置の限界は判っています。そのため、クリニックや在宅医にとっても、実は入院治療が必要になった時に対応してくれる病院がはっきりしていることは、とても安心でもあります。

かかっている病院の先生に遠慮して、かかりつけ医を持ってはいけないと考えている患者さんもいます。けれど、積極的な治療を受けている病院が遠ければ遠いほど、体調を崩した時にどうしたら良いか困ってしまうのは患者さん自身になります。「いつでも連絡してください」と言ってはいても、大きな病院ではベッドが空いていないこともありますし、体調が悪くて病院に行くことさえできないこともあります。

自分の体を治すために、病院に通院しているのに、病院や医師に遠慮したがゆえに、体調を壊してしまうのは、なんだか変な気がしますよね。本来は、医師同士の連携や、病院間の連携がとれていれば、こんなコトにはならないはずです。

今は、診療報酬でも、「共同診療」や、「病診連携」は認められており、病院にとってもかかりつけ医にとってもプラスに働くシステムに変わってきています。つまり、患者さんは、両方の医師を病状に応じて、行き来することも可能なのです。

この時に大切で必要なものが、「診療情報提供書」です。

医師同士の言葉で、患者さんの状態を共有することが必要になります。これは、どんな仕事でも依頼書・説明書が必要なことと同じだと考えて頂ければと思います。患者さんのこれまでの経過や今の病状、そして処方されているお薬などを、医師同士が知っておくことは、本当に大切で重要なことになります。

まとめ

いかがでしたか? 大病院や専門病院とクリニックや在宅医の機能や特徴を理解して、患者さん自身が自分の体調や生活、そして希望に合わせて、上手に医師をかかり分けて頂きたと思います。

医師によっては、診療情報提供書を面倒くさがる場合もあります。けれど、患者さん自身が賢くなって、早めに自分の希望を伝えていくことも心掛けて頂ければと思います。

ずっと、大学病院や専門病院の主治医だけに見てもらうことが難しいのが、今の現状です。病状が安定した時に継続して診てもらえる先生は他にいるのか、通えなくなった時にどの先生が自宅から近いのか、ご家族や地域の方の情報を参考にしながら、主体的に自分の体が一番負担にならない方法を見つけて頂きたいと思います。

ライター:村松まみ

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