こんにちは。いい病院ネットです。
がん告知を受けてすぐに治療選択することを求められます。その時に、仕事についても同様に選択を求められた気がして、仕事を退職してしまう人がまだまだ多いことが現状です。
ですが、そこはちょっと待って!
今回は、がんと仕事について話を進めたいと思います。
「仕事は続けよう」
■告知を受けた後すぐには、大切な決定はしない
がんにかかる世代は、高齢の方ばかりではなく、いわゆる働き盛りの世代の方も、がんにかかる可能性があります。仕事にやりがいを感じ、職場で大切なポジションを与えられている時期に、病気になってしまることもあります。
そんな世代ががんにかかった時に、頭をよぎることの一つに【職場に迷惑がかかることへの罪悪感】があり、以前と同じように働けなくなることのよる【自信の喪失】や【意欲の低下】といった感情です。仕事に対する責任感が強いほど、その気持ちが強く生じることがあります。
研究が進み、がんにかかっても早期であれば完治できる時代でありながら、がんを告知されたことの衝撃は大きく、自分の人生を根底から揺らがされたように感じる人も多くいます。
一般的に、がん告知を受けた後、日常生活がとりあえず行えるようになるまで2週間程度はかかるといわれています。この2週間は、自分では冷静であるように思えても、いつもとは違う精神状態に置かれていると考えられます。
そのため、“社会人としてしっかりと早めに決断しなければ”と考え、告知を受け治療選択の途中で、仕事についての大きな決断をすることは避けるようにしてください。まずは、自分の置かれている現状を冷静に考え治療の意思決定ができるまで、仕事場には病気について詳しく説明することを待つことも大切です。
■仕事の質が変わっても、仕事を続けることに意味を見つける
がん治療は、時には手術による後遺症が長びくことや、他の治療を平行して行うことが必要になることがあります。そのため、病気になる前と同じような仕事を続けることが難しい現実に直面することもあります。
ですが、それは人生を長い目で見たとき、同じような状況が病気以外でも訪れる可能性があると思いませんか?
例えば、家族の介護が必要になった時や、事故にあった場合でも、同じように自分が望む仕事ができなくなることがあります。
がん治療を受ける期間は、乳がんなどでは10年間といわれています。その長期間、治療費がかることになり、仕事を辞めてしまうことは、経済的負担が重くのしかかることにもなりかねません。
頑張ってきた仕事の内容が変わることで、一時は挫折感を味わうことがあるかもしれません。ですが、その一時を乗り越えた先に、違う形で自分が仕事で貢献できることがみつかることもあります。
実際に、がん患者となったことで“職場の労働環境を変えたい”と人事などに移動した患者さんも多くいます。病気になったことがない人よりも、会社の福利厚生について改善する力も改善内容も、患者さん目線で訴えることができます。ですが、仕事を辞めてしまうと、自分の体験は、誰にも理解されないままになってしまうかもしれません。
仕事の質は、病気とともに生きる中で、変わる必要性があるかもしれません。ですが、仕事を辞めない、仕事を続けることに意味をみつけて欲しいと思います。
■周囲に仲間を増やして、仕事を続けよう
がんに関わらず、病気を抱えて仕事を続けることは、大変なことだと思います。私も家族に難病を抱えながら就労し続けた経験者がおり、外から見えにくい病気を抱える大変さを見てきました。
ですが、一番の困難は、転職です。今の世の中、安定した会社にいることが、どれだけ自分を守ることになるのかを、家族体験を通して知りました。病気をもって、転職することは、技術や知識が豊富にあっても厳しい場合が多いのです。
がん患者となり、治療と仕事を両立するうえで大切なことは、自分を理解してくれる仲間を増やすことです。
中には、通院のために仕事を休むことに理解を示さない人もいます。ですが、そんな人のために仕事を諦めたりする必要はないですのです。その人以外の仲間が、あなたを職場のメンバーとして受け入れていれば、それが答えだと思います。
病気になること、家族が病気になることで、仕事に支障が出る可能性は、誰もが起こることです。あなたが、たまたまその職場でトップバッターであっただけのこともあります。あなたが病気と付き合いながら、仕事を続ける姿を通して、あなたを理解してくれる人は必ず現れます。
周囲に仲間を増やすポイントは、あなた自身が周囲に心を開くことが大切です。それは、病気についてオープンに話せというのではなく、治療や通院で、休みを取ったり時間調整をしてもらうとき、相手に感謝を伝えたり、できる仕事を手伝うことです。
「病気になったのは、私のせいではない」という気持ちが強いと、それは周囲の人にも伝わります。確かに、病気になりたくてなる人はいませんし、思う通りにできるなら仕事を誰よりもやりたいですよね。
ですが、できない自分がいる。その部分を、補ってくれる誰かにお礼の言葉や態度を示すことは、負けでも引け目に思うことではありません。誰かが困った時、同じようにあなたができることをすることで、周囲もお互いを助けやすくなります。
病気になってしまった自分、周囲の人と同じようにできない自分を受け止め、そのことを相手に伝え助けてもらうことで、今までとは違い関係性が職場に生まれるきっかけになるのです。
まとめ
がんと告知され、仕事のことを相談する場所は増えています。病院の相談室も社労士と連携して仕事を継続する支援を行っています。また、職場の産業医や産業カウンセラーなどに相談することも以前よりもしやすくなっています。