心の健康を保つ⑦【過去の感情に縛られていませんか?】

心の健康を保つ⑦【過去の感情に縛られていませんか?】

こんにちは。いい病院ネットです。

あなたは、過去の失敗や嫌な思い出に縛られていませんか?例えば人間関係でいじめられた、例えば失敗した時に笑われたり人前で叱られたりした、そんな記憶に縛られて、今や未来に進むことに不安を感じていませんか?

ですが、過去は過去、同じことが起こることはありません。過去の感情から解き放されて、今と未来を歩き始めてみませんか?

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【過去の感情に縛られていませんか?】

■脳の仕組みなせる業

人間に限らず生き物は、「不快な体験」「嫌な思い」を記憶する脳の部分を持っています。それは、自分の身を守るために必要な脳の仕組みとして、とても大切な機能です。

私が子供の頃に飼っていた犬は、突然道路に走り出す癖がありました。私達が言い聞かせても叱っても好奇心のほうが強く、目を離した一瞬に車が来た道路に飛び出してしまいました。幸い、前足の骨折だけで済みましたが、その事件を境に、その仔はその道路を一人で超えることができなくなったのです。

これは、過剰ともいえる反応で、一緒に歩いて渡れば大丈夫なはずなのに、「この道路を渡る=痛いことがある」というショートカットな感情が生まれ、抱きかかえないと渡れない、逆に言えば「誰かに抱きかかえてもらえば安心」という図式が出来上がってしまったのです。

これは、動物だけでなく、人の心にも起こる反応のひとつでもあります。

■記憶と感情が強く結びつく

車に引かれた愛犬は、「痛い」という不快な感情と体験が、「あの道路を渡った」事実と深く結びつき、あの道路をわたることさえできなくなりました。

人間も同じで、手ひどい裏切りやつらい体験をしたことを思い出させる場所や人、シチュエーションなどに遭遇しそうになると、過去の記憶を体験した時の自分の感情が蘇り、「危ない」「逃げよう」とその場から逃げるコーピング方法をとってしまいがちです。

ですが、人はペットのように、飼い主が抱えて道路を渡ってくれる状況を続けるわけにはいきません。誰かのサポートを借りながらも、一人で歩いていかなければ、自分の未来を開拓することはできません。

では、過去の事実から、自分の不安や恐怖、不快な感情を引き話すためには、どうすれば良いのでしょうか。

■同じ出来事は未来にないと信じる

つらい過去に感じた感情が、実はあなたを縛りつけ、臆病にしています。確かに、あなたを傷つけた過去は存在し、その時のあなたは深く傷ついた事実がありました。

ですが、未来に過去と同じ未来は来ないのです。なぜなら、あなたは、その状況を乗り越えて今に存在するからです。過去から、今までの時間を確実に生きているからです。

まずは、その事実をしっかりと受け止めてください。過去から今の時間だけ、あなたは成長しているのです。あなたが歯を食いしばって生きていた、今の自分を信じます。

そして、もう一つ。あなたの未来は、自分で作るという決心をして、過去と感じ状況にならない賢い自分になることを意識してください。自分で変えることができるのは、「自分の考え方」と「未来の自分」。まずは、あなた自身を縛り付けている過去の感情を整理して、生きやすい対処の仕方を増やす努力を初めましょう。

■過去を整理する

誰かが怖い、何かをするときに不安を感じ、前に進めない場合には、「何が、そうさえているのか」を客観的に捉えていきます。

そうすると、次第に

〇過去に同じようなタイプの上司にいじめられた
〇同じようなクレームを言われて、怖い思いをした
〇面接試験で、詰問された

などが思い出されると思います。そしてその時、一緒に自分がその場から逃れられなかった無力感を思いだしたり、怒りや口惜しさ、悲しみなどの感情も思いだせたりすると思います。その感情こそが、前に進めない元凶であり、あなたを縛っているものなのです。

では、どうすれば、そんな不快な思いをしないで済むのでしょうか。

その一つは、その出来事があなた自身のせいで起こったのではないことを色々な角度から考えてみます。

例えば、クレームで嫌な思いをしたとしたら

〇自分の対応を客観的に考える
〇相手の対応を多面的に考える

ことをします。もし、自分の対応の中で、反省すべき点があれば、その事実は事実として認め、次の場面で直せば良いと考えます。そして、相手の対応については、「虫の居所が悪かったのかもしれない」「前にも同じ体験をしたのかもしれない」「怒りをぶつけた後は、落ち着いてくれた、話せばわかってくれた」など、多面的に考えてゆきます。多くの場合には、相手にも感情があるため、その感情と怒りが結びついたためのクレームや謂われのない嫌がらせを、たまたま弱い立場であるあなたにぶつけただけのことが多いものです。あなた自身に問題があるのではなく、自分自身やその周囲に対して怒りを抱いていることがわかると、「怖い」「不安」と感じた正体が見えてくるはずです。

■対処法をできるだけ多く考える

過去の出来事ではなく、過去の感情に縛られてしまうことは、原始的な脳の機能に縛られてしまっていることでもあります。ですが、あなたの脳の機能は、危険を回避するための方法を考える機能も兼ね備えています。

対処法をたくさん考えることができるのも、人間ならではの機能です。

例えば
〇クレームを言われる前に対処する
〇クレームを言われた時の相手にかける言葉を工夫する
〇手に負えないクレームを受けた場合の対処法を統一する
〇クレームを言われた後のストレス発散方法を考える

など、たくさんの対処を考え、「いやな出来こと+感情=自分を傷つける」という簡単な数式ができないようにしていきます。

そして、何よりも大切なことは、あなた自身が、過去の感情に捕らわれない自分になりたいと望むことです。人は、自分が変わりたいと願わなければ、変わることができません。いつまでも、誰かに抱えてもらうことを期待して歩こうとしなかったり、相手が悪いと相手を攻めたりしているだけでは、感情を切り離すことは難しいことも忘れないでください。一人では、変わりたくても変われないときは、カウンセリングを受けることも一つの方法です。

まとめ

いかがでしたか? 実は、私もつらい体験をした後は、その時のことを思いだすだけで頭が痛くなったり、攻撃的になったりしたことがあります。ですが、不快な感情に縛られている理由を知ってからは、考え方を変えて楽に生きることができるようになりました。

事実は変えられませんが、その事実をとらえる感情は変化させることができますし、未来の備えにすることも可能です。つらい感情を手放して、あなたの力を生かせる未来を描き始めませんか?

ライター:村松まみ(メンタルコーチ・カウンセラー)

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