心の健康を保つ⑩ 役割を引き受けすぎていませんか?

心の健康を保つ⑩ 役割を引き受けすぎていませんか?

こんにちは。いい病院ネットです。

仕事や学校、サークルなどで何かの役割を頼まれることってありますよね。ですが、あなたは自分の生活や時間配分を考えて、“役割が負担”になりそうなときは、断ることができていますか?

引き受けすぎても、何とか役割達成できれば、あなたの自信につながります。ですが、よく考えたら体力や時間的に無理なのはわかるはずなのに、“断る勇気がない”場合や、“先を見通せずに返事をする”ことで、結果的に役割を担うことができなかった場合には、周囲の評価も、自分自身への自信も失いかねません。

今回は、役割を引き受け過ぎてしまう心理と、その対策についてご説明します。

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役割を引き受けすぎていませんか?

■役割を引き受けすぎてしまう理由とは

年齢やタイミングなどによって、リーダーや班長などをはじめとするさまざまな役割が回ってくることがあります。ですが、上手に断れる人と、自分の生活の中のキャパシティ以上の役割すべてを引き受けてしまい、疲労困憊になってしまう人がいます。まずは、自分にとって過剰な役割を断れない人の傾向には何があるのでしょうか。

〇頼まれたものは引き受ける「べき」思考が強い

子供のころから、「頼まれたことはきちんと最後までやりなさい」と教え込まれたタイプの方に多いパターンの一つです。

ですが、子供の頃に頼まれる仕事や役割はたかが知れています。だからこそ、大人は教育的な意味で、「最後までやりなさい」というのです。やれたことで得られる「達成感」が、その子の成長につながることが分かっているからです。

ですが、社会人となった場合には、「役割=成長につながる」ものではなく、業務で割り当てられた役割であったり、くじであったり、頼みやすい人に押し付ける意図があったりします。

役割にも色々な背景や意図があるにも関わらず、あなた自身が頼まれたものは引き受ける「べき」という価値観が強いと、その価値観に反する行動をとることができずに、自分の身を苦しめても役割を引き受けてしまうことになるのです。

〇頼まれると「嫌」と言えない

頼まれると「嫌」と言えないタイプの人も、自分の能力以上の役割を多数引き受けてしまうパターンです。

その心理には
・断ることで、相手の機嫌を損ねるかもしれない
・断ることで、嫌なやつだと思われるかもしれない
・「そんなこともできないのか」と思われるかもしれない
・次に声が掛からなくなるかもしれない

などの思いが隠れています。つまり、断ってしまった後にくる未来に対する不安や恐れが、「断れない」という選択をさせてしまうのです。これは、ある意味、相手に自分の未来の主導権を握られているともいえるかもしれません。

〇スケジュール管理が甘く、何でも引き受ける

「みんなが大変だから、自分がやるよ」「多分、できると思うから大丈夫」と、その場では気持ちよく引き受けてはみたものの、時間や能力がなく結果的に人に迷惑をかけてしまうパターンです。

役割を嫌がって決まらない時に、その場の雰囲気を変えたくて手を挙げてしまったり、スケジュールを確認しないで「やる!」と引き受けてしまったりするこのタイプは引き受けたその場では「お助けマン」的存在に見えます。ですが、役割をやり始めてみると、自分が思った以上に大変な役割だったり、結果が出せなかったりするため、だれかに責任転嫁したり、他の人を巻き込こんでしまうことになります。

〇「自分が我慢すればいい」自己犠牲的傾向が強い

他の人が大変になるからと、自分ばかり大変な役割を引き受けてしまう、「私がやっとくからいいよ」と言ってしまい、結果として役割過剰で体調を壊してしまうことが多いパターンです。

職場や家庭、社会的役割のすべての場面で役割を自己犠牲で引き受けることは、体がいくつあっても足りるものではありません。自分を犠牲にしすぎて、あなたを大切に思って心配している誰かを傷つけていることもあります。

以上のように、役割を引き受けすぎるタイプも色々と考えることができます。ですが、苦痛することは、「自分が引き受ければ、何とかなる」という見通しの甘さがあるのです。人に与えられた時間は一日24時間であり、一年は365日しかありません。自分だけが頑張ることで、減らせる時間は「睡眠時間」になりがちです。ですが、睡眠時間を減らすことは、睡眠サイクルを狂わせ、ホルモンバランスや神経伝達物質などの不足をもたらすこともあります。

では、何かの役割を引き受けすぎないためにはどうすれば良いのでしょうか。

■少し負荷程度の役割を担うためには

自分に負担がかかるからと、すべての役割を断ることは社会人としてできないことですし、人間関係もうまくいかなくなることがあります。では、どうすれば、少し負荷程度の役割を担い、役割を達成することができるのでしょうか。

〇1年を通してのスケジュール管理を行う

新しい役割を適切に担うことは、新しい自分に出会うチャンスであり、自己成長の機会になる場合もあります。そのためには、「今の自分」をスケジュール管理したうえで、役割を引き受けることが大切です。

家族としての役割、社会での役割、会社での役割で、その年に自分に割り当てられそうなものを予想するとともに、今の自分が抱えている役割や忙しくなる時期を、手帳などに簡単にでも記載しておくことが大切です。

何かの役割が自分に割り当てられそうになったときには、その手帳を見ながら確認し、「この時期ならできる」という説明の仕方で、相手と相談することが良い方法の一つです。

■自分の未来時間は、自分で決める

何かの役割を、上司や先輩などから頼まれると断ることは苦しいと思います。ですが、その役割を担った時に、自分の体調や家族に負担がかかることが判っている場合には、受けられない理由をきちんと説明することが大切です。

相手に嫌われたら…、出世に響いたら…、などの不安はよぎるかもしれません。ですが、自分の体調や、家族との関係などが破たんしてしまえば、仕事を続けられなくなることもあります。

また、受けられない理由を説明することで、提案された役割などの内容が変わることもあります。断ることの不安ばかりに目を向けず、交渉力をつけて相手に譲歩を求めましょう。

■自分の思考の傾向を見直す

自分の関係する世界が広がるほど、自分の価値観だけでは対応できないことが起こります。それは、世界が広がった分だけ、多様な価値観の人とかかわることになるからです。

そのため、多様な価値観の人から見た場合に、

・自己犠牲的に役割を引き受ける
・頼まれたことはきちんと最後まで全うする

という価値観では、対処できないことも多く、相手によっては「あいつは断らないから頼んでしまえ」と、自分の役割まで押し付けてくる場合さえあります。

役割を引き受けすぎてしまう傾向がある人は、自分の思考の傾向を把握することが大切です。私も前は、「他の人が忙しくなるから」と、色々な役割を抱え睡眠時間を減らして頑張ったこともあります。ですが、結果としてイライラしたり、体調を壊してしまったりで、自分が思うほど、周囲は役割をわたしが担うことに重きを置いていないことも実感しました。役割は、誰もがスムーズに変わることができる程度のものであることがベストなのです。

社会は、色々な価値観をもつ集団の集まりです。自分の価値観も、相手や役割に応じて柔軟に対応し、特定の人だけに役割が偏らないように提案するなども、誰もが適切や役割負担を負うことにつながります。あなただけが、生活や睡眠時間を犠牲にしてまで、役割を担う必要はないのです。

まとめ

たくさんの役割が重なりそうになった時には、客観的に淡々と、自分のスケジュールを見ながら、相手と相談しましょう。依頼された役割を断っても、あなた自身の価値が下がるわけではないのです。

自分の心身が、役割という適度なストレスで成長できる範囲で、誰かと相談・協力できる環境の中で、新しい役割を引き受けるようにしましょう!

ライター:村松真実(メンタルコーチ・カウンセラー)

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